私がBさんと関わって、5年半ほど経ちます。
5年半前、初めて会ったBさんの第一印象は、綺麗な奥様。
そして、ご主人も素敵な方。ご夫婦揃って、美男美女。
当時、Bさんは、60代半ば過ぎ。認知症の周辺症状である「徘徊」による相談。
Bさんの夫は、自営業のため休みをゆっくり過ごすという事はほとんどなかったそうです。
Bさん自身、夫の仕事を手伝っていたそうです。
その傍らで、子供の学校行事、地域活動にも積極的に関わりながら、二人の子供を懸命に育てた母であり、妻。
ご主人が言っていた。
「これから、夫婦で、旅行へ行ったり、美味しいものを食べたり、ゆっくりとした時間を過ごし、妻孝行をして、楽しもうとしていた。今思えば、その頃から、Bさんの行動に異変を感じていたが、まさか認知症だなんて思っても見なかった。」
少しづつ、少しづつ、病魔はBさんに忍び寄っていた。
現在のBさんの状態は、発語はほとんど聞かれなくなった。
(5年半前は、会話にこそならなかったが、よく話をしていた。)
しかし、何も感じていないわけではなく、自分の思い、気持ちを伝えられなくなっている状況。嬉しいとか、嫌だなとか、感じている。これは間違いない。
そして・・・・。
Bさんの周辺症状の1つである「徘徊」は今も続いている。
Bさん宅の玄関・窓・勝手口と、いくつもの「徘徊探知機ブザー」が設置してある。玄関・扉が開くと「音」が鳴るようにしてある。(介護保険での適用あり)
Bさんの中で「外へ行く。」そのスイッチが入ると、静止はなかなか聞かない。
ご主人は、本人から目が離せない。
どうしても落ち着かない日は、本人が気が済むまで、一緒に歩いている。
「ちょっと待ってて。」「行かないで。」「一緒に行こう。」
こういったやりとりが、毎日、何度もあるわけです。
このままでは、家族が倒れてしまう。誰が見てもそれは一目瞭然です。
主治医も「そろそろ施設入所を考えた方がいいのでは・・・。」とアドバイスをするほど。
今日は、ご主人と月に一回の面談日。
(緊急事態宣言中ではあるが、ご主人の要望もあり、CMは訪問させてもらい面談となった。)
1ヶ月ぶりの面談。
ご主人が、痩せた印象だった。
CM「食事は、食べられますか?」
ご主人「食べてますよ。大丈夫ですよ☺️。」
面談が終わり、玄関先でご主人が話てくれた言葉がとても印象深かった。
「一緒にいると、頭にもきますし、イライラもします。でも、私自身、妻と一緒にいることが、生きる張り合いになっていると思うんですよ。まー私の体が動かなくなったり、体調が悪くなったら、この生活は終わりですけどね。その時は、もう、施設に入れてもらうしかないんですがね・・・・。私の身体が続く限り、一緒にいてあげたいんです。」
愛
人を思う心。
在宅での介護は、家族の協力は不可欠です。
しかし、ひとりで抱え込んでは、家族が共倒れをしてしまいます。
それだけ、介護は過酷です。
主治医であったり、薬剤師さんであったり、訪問看護師さんであったり、デイサービス、ヘルパーさん・・・。さまざまな、専門職とチームを組んで乗り越えていく。それしかないと思っています。
ご本人が、ご家族が、日々の生活の中で、ほんの少し、その気持ちの拠り所になれればと、皆懸命に関わっています。
人生100年時代。
この先、誰もが行く道。
決してひとりで抱え込まず、
「助けて」
ともっと気楽に声をあげて、手を伸ばしていいんです。
必ず、ともに手を取り合って一緒に前に進もうとする、私たちがいますから。